鍵屋のHARDな体験談

滋賀で20年近くこの仕事をしていますが、これまでに数えきれないほどHARDな体験をしています。言い換えれば鍵屋の苦労話といったところでしょうか。まあ、どんな仕事にもそれなりに苦労はつきもの。ここではそれらの一部をご紹介します。(2021年6月16日スタート)

KAGIYA HARDSTORYs

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リピートのお客様を得るまで

京都の大手産業機械・医療機器メーカーで製品の設計及び品質保証の仕事からひょんなことから鍵屋になって20年近く。それまではいろんな仕事に携わってきましたがすべて”雇われ”の身分でした。この鍵屋という仕事は自分が経営者としての道を歩み始めた、初めての仕事。どんな商売でも開業したての頃はすぐには仕事が入らず苦労するものです。私は本部代表に師事し修行を経て平成14年9月に開業しましたが、仕事は自分で得るもの、と固く教えられ本部からの紹介は全くない状態からのスタートでした。A3のコピー用紙を大量に購入し、両面コピーで4等分してチラシつくりをし、日中はポスティング作業の日々。滋賀県中の住宅街を回りました。夜は弁当工場でアルバイト。そんな日々が1年くらい続いたある日、チラシをご覧になられたお客様からポツ、ポツと仕事依頼のお電話を頂けるようになりました。「初めまして、どうぞ宜しくお願いします!」と元気に振舞ってお仕事させていただいたことを今でも思い出します。初めてこの商売でお客様からご料金を頂いた時の喜びは格別でした。日を追うごとに仕事の量が増えてきてやっと鍵屋だけでやっていけるようになったのは開業して2年以上経ってからです。そのころからリピーターのお客さんからのお電話が増えだしてきました。お隣さんの玄関の鍵を見てくれる?とか息子がバイクのキーを失くしたので作ってください、など。再度依頼してくださるお客様の数は年々増していき、開業以来今年で19年目。今では彦根市、長浜市、米原市はもちろん、滋賀県全域にリピーターのお客様がいてくださります、有難いことです!再度ご訪問した時「毎度有難うございます!」と元気を振舞ってお会いした時の喜びは何物にも代えがたいものですね。苦労してきた甲斐があるなという気持ちと同時に初心を忘れないで日々精進していかなければという気持ちが交錯する毎日を過ごしています。

 

バックオーライ...ストップ!あっ!

夜、滋賀県米原市山東地区の民家の鍵交換に行った時の話。作業が終わり、お客様にご挨拶をして車に乗り込みバックしようとしたとき。ものすごく狭い路地の奥にあるお宅だったので切り返してUターンをしようとしたのです。お客様も後ろで見てくださっていたので心強かったのですが、お客様の誘導の声を一瞬聞き損ねてしまって側溝に後輪が落ちてしまったのです。落ちる寸前にストップ!のお声をかけていただいたようなのですが私が聞き損ねてしまったのです。4WD車なのですぐに脱出できる!と思ったのですが片輪が無負荷に近い状態なのでデフが作用してむなしく空転するばかり。私の車にはデフロックがついていないので4輪中1輪だけでも無負荷になるとアウト!雪道などしっかりと4輪が接地しているときは最強の軽バンなのですがそこはやはり四駆の軽トラやクロカン仕様の四駆と違うところ。仕方なくJAFさんにお世話になりました。JAFさんとはいつもキー作成業務で応援させていただく立場ですがこの日は反対に助けられていました。

 

ドロボーさんに間違えられることに慣れました

滋賀県長浜市、真夜中のとあるマンション駐車場でのこと。車のキーを紛失されたお客様に身元確認をし解錠およびキーの作成業務をしている真っただ中、立ち会って頂いていたお客さんがちょっとそこまで用事で行ってくるね、すぐに帰ってくるから。といってその場を離れられました。およそ20分後、ほぼキーの作成が終わろうとしていたその時、赤色灯を点けた1台の車が近づいてきました。白と黒のカラーに赤色灯、そう、パトカーだったんです。お客さんがこの場を離れている間、私一人で作業していたのを他の住民の方が見つけ、怪しく思い警察に通報されたようでした。それは焦りましたよ~、ドロボーさんに間違われたわけですから。警察官にはお客さん本人の誓約書のサインと免許証番号、車検証を見せ事情を説明している最中にお客さんが戻ってきてくださり事なきを得ました。この日以外にもよく似た体験、沢山あります。

 

ボイルされそう...

滋賀県米原市にあるとある会社のボイラー室。なぜかここに保管されている業務用金庫の解錠依頼で出動したときの話。ボイラー室のドアを開けた途端、ムッとするような熱気。季節は冬でしたがほんの数分この場所にいるだけで汗が出てきます。シリンダー錠が1つ、100万変換ダイヤルが1つついた高さ1mくらいの大きさの金庫の解錠です。まずはシリンダー錠を開方向にピッキング。360ぐるっと回りまずは第一段階突破。金庫開錠はここからが本番です。グオーッと唸るようなボイラーの音の中でのダイヤルのわずかな音の違いを判別するのは酷というもの。2時間くらい頑張ったころ暑さで頭がぼーっとしてきたので小休止を取らせていただきました。まさしくボイルされる寸前のような状態。少し休むと元気が出てきてさあ、再開!というときにお客様から「ダイヤル番号のメモが見つかりました!」との連絡を受けました。自分としてはもう一息で開けられると確信があったのでちょっと残念でしたが灼熱の世界から逃れられると思うと嬉しくもありました。自分が途中まで探った番号とお客様から手渡されたダイヤル番号のメモとを照らし合わせてみると、3個の番号のうち2個まで合っていました。(番号は4つ必要ですが最後の番号は固定であるため探る必要はありません。探るべき番号は3つです)あと30分あったら開けられていたと思います。でも命取りの30分になっていたかもしれません。。。

 

4月の川の水は冷たいこと!

時は4月、桜の季節でした。犬上郡豊郷町、水路脇に建つ一軒家。裏側出入り口のカギ交換の仕事でした。あいにくこの扉に適合するメーカー製の錠前セットの在庫がなくメーカーに発注をかけるために扉と鍵やレバーなどの写真を撮っていた時のことです。扉から水路までわずか数メートル。スマホで写真を撮ろうとしましたが広角機能が十分ではなく水際ぎりぎりまで下がっても扉全体を映しきれません。そこで趣味で使っているデジタル一眼レフと超広角レンズを車から取り出し撮ることにしました。10-24mmの超広角ズームレンズ。さすがに一眼レフ用レンズの広角は素晴らしい!パシャパシャ撮りました(笑)うーん、おしゃれなおうちやなあ、桜と一緒に撮りたいな...ついついカメラマン魂に火が付いてしまいました。調子に乗って撮っていて半歩下がった瞬間!朝露でぬれた斜面の草に足を滑らせそのまま水路にズルズル~っとカメラごとドボ~ん!
4月の川の水温は雪解け水に近い温度でそれはそれは冷たかったです。完全水没したNikonの一眼レフ、D500と10-24mmのレンズは当然使えなくなりました。一度は手放そうと考えましたがダメ元でその後晴れた日に天日干しとカメラ防湿庫に1か月程度放り込んで置いたらなんと復活したのです!ファインダースクリーンマットやセンサー画面は当然水が入り込んだので外してクリーニングしました。ファインダー内には取り切れないゴミがまだ残っていますが撮影画像には影響がないためそのまま使っています。それにしても一度でも水に浸かってしまったカメラが完全復活するとは!さすがNIKON製ですね~(笑)その後そのカメラで撮った作品が面白いほどに連続でフォトコンテストに入賞するといった数奇な体験をしたのは紛れもない事実。。。

 

ナビが使えない!

平成22年に市町村合併で市町村の構成が大きく変わりましたね、まだ記憶に新しいところです。地域ごとに纏まりができ行政を執り行ううえではとてもやりやすくなったものと思います。が!普段ナビゲーションシステムの道案内を頼りにお客様のお宅へ向かうこの仕事をしている者にとって、当時は「市町村合併なんて要らんことしてくれて~!」と不満声を上げた方も多いと思います(笑)私もそのうちの一人。例えば「長浜市のどこどこ(新地名)に来てください」と要請があった場合、今まで使ってきたナビでは当然新地名は反映されておらず、マップルの地図(冊子)で〇〇という地名で探し、あ~ここは旧高月地区ね、という感じで「滋賀県高月町○〇」とナビにプロットします。これが結構面倒であちこちから出動要請がある時には嫌気がさしていました。新しいナビに買い替えるにもデータが反映されるまである程度の時間がかかるためそれまではほんと、大変でした。。。

 

やっぱり、4WDは必要?ですよね~

大雪の日の午後、滋賀県米原市の甲津原にあるグランスノー奥伊吹(旧奥伊吹スキー場)から車のキーを無くしたので作ってほしいとの出動要請がありました。この日は大雪、午後から一段と雪が激しくなり一般道路にはどんどん雪が積もっていきます。現地まであと20分くらいのところまで来たころには陽も暮れ、道路はアイスバーンへと変化していました。なんとか山頂の駐車場近くまで来たのですが、対向車とすれ違う際に脇道に停止しました。そして再度発進しようとしてもタイヤ(後輪駆動の軽バンです)が空転して前に進めません。目的地まであと100mくらいのところで完全に動けなくなってしまいました。ここでは携帯の電波状態もよくなくお客様に状況を報告するにも上手くいかず、パッシングで合図を送り、工具と機械と電源を台車に乗せて歩きでお客様のところに行きました。猛吹雪で前がまともに見えないし真っ暗やし足元は滑るし。。。やっとの思いで到着、カチンカチンに凍った鍵穴を息を吐いて溶かしてピッキング、無事キーの作成を成し遂げました。幸い、キーをなくされたお客様はご友人の車の中で暖をとっておられたので安心しました。仕事の後にお客様様から頂いた温かい缶コーヒーの味は未だに覚えています、美味かった~。帰り道は下り坂でカーブ多数。細心の注意を払いながら下山したことを思い出します。その後、車を乗り換えることになり4WD仕様のものを選んで乗っています。湖北の冬はやっぱり4WD車が安心ですね。

 

山奥で草ボーボーの中で

地元の警察からよく住宅や車の解錠依頼が入ります。強制執行の仕事です。ある年の夏、滋賀県長浜市木之本町の山奥に放置された車の鍵を開けてほしいとの要請が入りました。警察からの車の解錠の依頼はなぜか人気のない山奥が多いです(笑)現場につき、開錠作業前に執行官や警察官が現場の保全写真を撮ったり、令状を丁寧に説明したりとなかなか作業を始めさせてくれません。30分くらい続いた一連の”儀式”の後いよいよ私の出番がやってきました。車に近づくと車の周りには背丈くらいの草がぼうぼうに生えています。草を掻き分け運転席側のドアの前に座り込んでの作業です。蒸し暑さにノックアウト寸前、おまけに足元には大きなムカデが出現!まわりはやぶ蚊だらけ。執行官や警察官からはまだかまだかの無言のプレッシャー。集中力を削がれる要素満載の中でやっと解錠が終わりました。作業後、作業前にはコワい表情を浮かべていた執行官の方から冷たいペットボトルのお茶と虫刺され薬を手渡された時は嬉しかったなあ。。。やりがいを感じる瞬間でした。

 

振り回されて、怒られて。

全国対応型の仲介会社の依頼を受けて滋賀県彦根市へ鍵の緊急解錠(本当に急がれているお客さだったようです)の仕事に行った時の話。本部から聞いていた住所についたけどそこはなんと墓地でした!?えー、どういうこと?と思い本部に電話をかけるとよく似た住所との間違いだったのです。よく似た住所でも距離にしたら約10キロ離れた場所。時間にして20分くらいでしょうか。なんとか正しい住所に到着、カンカンに怒っておられるお客様には深くお詫びをして何とかお許しをいただきました。当店が直で受けたお仕事の場合、こういうミスは一切ありませんが仲介を通すと結果的に連絡にワンクッション入ることになり連絡ミスが起こる可能性が増します。滋賀県の地名をもっと勉強してよって言いたくなります(笑)過去に何度もこういう事例があるので仲介会社さんには本当にもっとしっかりしてほしいものです。

 

鍵屋の仕事じゃないやん!でも結果オーライ。

滋賀県米原市山東地区のお客さんからおうちの鍵を落としたので助けてください!と悲痛な声で電話があり現場へ急行。お客様と合流し、事情を聞くと、家の前の側溝に家の鍵を落としてしまったとのこと。こちらは出入り口の解錠作業の準備をしているのにお客様は側溝の中に見えるカギばかりを見つめられています。そして「鍵屋さん、お願いです!側溝のふたを開けられないですか?」とおっしゃるものだからそちらの協力をすることに。コンクリートの重たそうな蓋とこれまた頑丈そうなブレーチング。その勘合部には土が入り込み(しかも苔生えてるし)、とても人の力では開けられそうにありません。そこで長さ1mくらいの大きなバールを持ってきて蓋の隙間に叩き込んで徐々に深く深く差し込んでいき何とかてこが利く深さまで差し込んで力任せに押し下げると蓋がポコン!と上がりました(笑)側溝の中と落ちた鍵が丸見え状態となり、傘の柄に鍵をひっかけて取ってあげました。こちらとしては鍵屋の仕事をしていないので料金は出張料だけ頂くつもりでしたがお客様がどうしてもとおっしゃって下さったので解錠料金を頂くことにしました。まあ無事にカギもお手元に戻ったことだし、結果オーライということで。と自分を納得させながら現場を後にしました。

 

眠い...とも言ってはいられない

日中に滋賀県全域あちこち仕事で走り回りクタクタになった日の夜、次の日の仕事の準備も終えさあ寝よう!としたらけたたましく電話が鳴り響くことも珍しくありません。一度寝入ってしまった後の電話対応はキツイものがありますが、そうはいっては居られません。もし真夜中に自分が鍵をなくしておうちに入れない状況を想像するとお客様の気持ちが伝わってくるものです。眠い目をこすりながら米原市や長浜市といった湖北へ向かう日々が当たり前となっています。昼間の空いた時間を利用して仮眠をとるようにしています。

 

怪我、生傷は絶えません

滋賀県彦根市で、とある店舗のガラス自動ドアの鍵交換をしていた時のこと。自動ドアの鍵交換は鍵メーカーによってはドアそのものを外してしまわなければなりません。ドアの真下にシリンダーを外すためのねじがあるため釣り上げているレールからドアを外し、ガラスドアを寝かせて鍵交換をしているまさしくその時!レールの上に置き忘れた工具がいきなり落ちてきて私の頭を直撃。状況を把握するまでは突然誰かにぶん殴られたような気持ちでした。頭皮からタラリタラリと流れ落ちてくる鮮血。止血のためにタオルを巻いて作業を続けました。血はすぐに止まると思っていたのですが事務所に戻っても止まらず、家族に見てもらうと「こりゃ、あかんわ。パックリ傷口開いてる!」と言われ急遽救急病院へ走りました。麻酔を打ってもらってすぐに麻酔が効いてくる前に5針縫われました、痛かったですよ~。今回は自分の怪我で済みましたが、誤ってお客様に怪我でもさせたらそれこそ大変です。作業時の安全確認はしっかりと行わなければ、と反省しきりでした。このほか、鋭利にとがらせた工具で誤って指を突いたり、大ハンマーが跳ね返ってきて膝を打撲したり、キーを作成時にキーマシンから飛んでくる切り粉が目に入ったり指に刺さったり...と生傷が絶えません。まあほとんどの場合、自分の不注意が原因ですが。

 

家族サービスができないよ...でも

私たちの仕事はいつ緊急出動要請が入るかわからない。それゆえに家族と一日お出かけすることもままなりません。そんな時にサラリーマンならよかったのになあ、とふと思うこともあります。特に週末の土日やゴールデンウィークや盆休みなどの大型連休に出動が多くそんあときにゆく先々で見かける家族連れの姿。うちにも小学生の子が二人いるのでお出かけに連れて行ってやりたいなあ、なんて思ってしまいます。でも我慢しなければいけないのがこの仕事。しかし我慢の限界があるのが人っていうもの。時には仕事のことも忘れて出かけますよ~、そんなときは大津や守山の事務所に任せて思いっきり羽を伸ばすことにしています(笑)

 

電気がないと何もできない!

滋賀県彦根市河原の細い袋小路の奥にある住宅の玄関に新規に錠前を付ける仕事に行きました。この住宅はまだ入居者がなく当然電気も来ていません。車には100V電源(インバーター)を積んでいますが電工ドラムを使ってもあと数メートルというところでOUT!引き違い戸の召し合わせ部に穴をあけたくても電気がなければ何もできない!困り果てた結果、ちょうどお隣のお宅の方が庭の手入れをされていたので延長コードをお借りすることが出来ました。車のインバーターの電源スイッチを入れ電気を確保でき無事に作業を進めることができました。このほかにマンション高層階(3階くらいまでなら車から届きます)での破壊解錠時にも電気がなくて苦労したことがあります。電気なしでは仕事ができない!ということで走行充電が可能な自作のポータブル電源を製作し、常に車載するようになりました。これ1台あれば充電なしでも数件の鍵取り付け工事や破壊工事での連続使用が可能です。

 

どんなシチュエーションでも!でも無理かも...

現場に着いてこれは無理かも!と直感的に感じることはよくあります。滋賀県彦根市の自動車修理工場にAUDI A4のインロック解錠の仕事に行った時の話。現場に到着、車の状況を確認すると幅1.5mくらいの水路ギリギリに運転席側のドアを向けた状態で止まっていました。AUDIの鍵穴は運転席側にしかなく”これは無理かも”と不安になりました。でも困っておられるお客様の前で”これは無理です!”と言えるはずもなく無い知恵を絞って頑張りました(笑)水路の中に脚立を立て、そこに足をのせてトライすることになりました。脚立ってきちんと体重をかければ安定しますが片足だけで押し付けるとたちまち不安定になるんです。仕方がないので脚立案は却下とし片足を水路壁面に預け”半身の状態”で作業開始。AUDI A4の鍵穴は水平(国産車などは垂直)タイプなので半身の状態プラスさらに体を90度横にひねりながらの作業。キーシリンダーの中をスコープで覗きながら内部の部品を一つずつピックしてゆくわけですが、なんせ姿勢が大変でしかも足元が不安定とあってすぐに体勢をもどして一呼吸。息もまとものできない体勢での作業はほんと、しんどかったです(苦笑)20分余り汗だくになりながらの奮闘でなんとか解錠することができましたが翌日背中から首にかけて筋肉痛になりました。過去の仕事においてこれは無理かも!と感じて本当に無理だったことは数えるほどです(笑)

 

翌朝、筋肉痛

ある日の朝、起きると肩から首にかけて痛みを覚えました。単なる寝違え?と思っていましたが、前日の夜の仕事の影響であることに気づきました。前の夜、滋賀県湖南市にホンダライフのインロック解錠に行った時の事。運転席側に花壇がすれすれの状態で停車されその状態でインロックされていました。ライフのキーはウェーブキーといってウニャウニャと波打ったような彫刻が施された鍵。開けるには運転席(にしか鍵穴はありません)の鍵穴をのぞき込みながらピッキングという手法を使います。ライフはドアの鍵穴は下のほうについていて、花壇の上端少し上あたりに見えており、のぞき込むにはちょっと厳しい状況。はじめは手探りでピッキングを試みましたがうまくいかず、花壇に腹ばいになって辛うじて鍵穴をのぞき込みながらの作業。体を思いっきり沈めながらの作業で息もまともにできず苦労しましたが何とか開けることができました。肩や首の痛みはその時には感じませんでしたが翌朝になってやってきました(笑)

 

待ち時間の恐怖

犬上郡多賀町の山奥でホンダシビックのイモビライザーキーの作成をした時の話。シビックのキーは通常のギザギザキーではなくプレートの外周の左右両面に波型に彫刻した、いわゆる4トラックのカギとなります。作成は通常キーよりも難度が高く、作成に時間がかかります。キーを作るにはAC100V仕様のキーマシンを使用します(私の場合)。当時、DC12V→AC100Vに変換するためのインバーターを車のスターターバッテリーに直結していました。サブバッテリーなるものを積んでいなかったのでエンジンスタート用のバッテリーからキーマシンの電源を直接引っ張っていたのでキーの作成に手間取り長時間に及んだ時などは気づいたらバッテリー上がりでエンジンがかからなくなることがよくありました。この日、多賀町での作業後完成したキーをお客様に手渡したのち先にお帰りになりました。その後私も帰ろうとエンジンキーをひねったらセルモーターさえも回らないくらいバッテリーが消耗していたのです。バッテリー上がりです。すぐに先ほどのお客様に連絡し持っているブースターケーブルでジャンピングしていただこうと思いましたが運転中なので電話に出られませんでした。真っ暗闇の山の中で困ったなあ、どうしようかと悩んでいた時に自動車保険のロードサービスを思い出しました。1回までなら無料でジャンピングしてもらえるサービスです。せっかくの保険、これを使わない手はない!と保険会社に連絡、山奥なので1時間余り待ちましたがロードサービスの方が来てくださいました。普段、エンジンがかかりライトも付けているとたとえ人里離れた山中でも全く怖さはありませんが、それができない状況になるとやっぱり怖いものですね。恐怖心を紛らわそうとラジオだけはつけていたもののやっぱり怖かったです。

 

キャンセル料、伝えるの忘れて

この仕事を始めて間もないころ、緊急出動時、お客さまへ途中キャンセル料のことを伝えるのをついつい忘れてしまいキャンセルになってもキャンセル料をもらい損したことがよくありました。今でこそサイトを作りその中にしっかりと記載しているので問題ないのですが当時はそうではなかったのでもらい損ねたことはよくありました。いざキャンセルとなった場合受付時にはっきりと伝えているかそうでないかでこちらから切り出ししやすくなるのです。特に玄関のカギが見当たらない、車やバイクのキーが見当たらないといったお客さまに多い途中キャンセル。カバンの底のほうに入っていた、とか普段使っていないポケットの中から出てきた、とか。そういう場合にしっかりとキャンセル料を頂けばいいのですが、気が弱い性格もありついつい「そうですか、見つかってよかったですね」で終わっていました。彦根市、米原市、長浜市等の遠方での途中キャンセルはキツイものがあります。今はしっかりと頂くことにしています。

 

高所恐怖症ながら、ベランダ伝いに

真夏の午後、彦根市のマンション3階に住む主婦の方から「ベランダに締め出されたのですぐに来てください!」との連絡があり現場へ急行。ベランダで洗濯物を干しているときに小さなお子様が窓の中央部にあるクレセントをかけてしまったそうです。幸い携帯電話を持ったままベランダに出たので連絡がついたそうです。築1年くらいの真新しいマンション。玄関には2か所のGOAL製ディンプルキーがついていました。上下の両方ともカギをかけているらしく玄関からは破壊しか方法はありませんでした。どうしようか奥様と相談していると、ちょうど真上の部屋(4階)にお住いのお友達が奥様の声を聞いて何事かとベランダに出てくださったのです。私は4階の奥様にベランダの非常はしごを使って3階に降りたい旨を伝えお願いしました。そして快諾していただき4階のベランダ床から非常はしごを使って3階に降り、クレセントを解除してことなきを得ました。この日の気温は35℃超え。真夏の直射日光が照りつけるベランダに締め出された奥様の命にもかかわる気温です。元々大の高所恐怖症の私ですがこの時ばかりは怖さを一切感じませんでした。とにかく素早く対応できて良かったです。4階の奥様に感謝!

 

うちは違いますって!?

滋賀県米原市のお客様から入電。電話に出るなりいきなり大声で「現場で料金が変わることはないですね!以前、ぼったくられた経験があるんで!」とかなり強い口調でおっしゃいました。一瞬、何事か?と戸惑いましたがすぐに状況を把握、サイトの記載している料金表の提示金額に間違いはないのか?ということでした。「うちは大丈夫です。料金表に記された以外の料金は一切発生いたしません、ご安心ください」と説明するもなかなかわかってくれないお客様。その後私の誠意が伝わったのか、正式に依頼を受けすべての作業が終わった時点でお客様から事情をお聞きしました。すると以前、検索順位が常にトップにある大手広告サイトに依頼した際に電話で聞いていた料金の10倍近い請求金額を提示されことがあるそうでした。「”〇分で到着、鍵のトラブル解決〇,〇〇〇円~、”なんてのは嘘っぱち!2時間待たされた上、鍵開けてもらってフツーの鍵の交換だけで80000円も取られたよ」とのことでした。生活トラブル解決にはあるあるな事例ですね。生活トラブルの解決役務に携わる全国対応型の仲介会社の中には過去に虚偽表記で消費者庁から「景品表示法に基づく課徴金納付命令」を受けた会社もあるようですから。表記に嘘はいけませんね。しかし最初にうちも同じだと思われたことは心外でした~。
地元警察からはトラブル解決業者からの不適正な料金請求にまつわるトラブルが絶えないので注意するようにと通達がありました。当店は正直料金で開業以来19年間やってまいりましたので、その点はご安心ください。

 

工具が壊れて

普段、仕事で使い慣れた工具。工具の寿命は永遠には続かないのです。市販のLEDライトの先端に屈折ミラーと拡大レンズを付けた、自作スコープ。とても明るく見やすいものだったのですが、ある日の夜、長浜市八幡東町で車のキー作成のために鍵穴を覗き込んだいるときに突然ライトがつかなくなりました。特に衝撃を与えた記憶もなく突然。電池交換しても点きません。困ったなあ、カギ山の段差が見えない!ライトさえあれば何とかなる!と思いヘッドライト(頭につける大きなライト)のテープで固定して試みましたがライト本体の大きさが邪魔をして上手く見えません。こうなったらカンでやるしかないと腹をくくり、バネで部品が跳ね返る音と指先に伝わる振動の大小で段差を判断しなんとか作成に成功しました。ほかには合鍵マシーンの電源が入らなかったことも。電源への接続は問題なし、しかしスイッチをONにしてもモーターが回らず。ヒューズ切れかなと思ってテスターで導通チェックしても異常なし。仕方なくその場で合鍵マシーンを分解し、モーター周りの配線をチェックしたら半田部分が溶けて外れていました。恐らく過負荷による発熱で溶けたのでしょう、配線がやけに細いものが使われていたのでより発熱に拍車がかかったのかもしれないと思い、車のメンテ用に積んでいた電源線を半田で付けなおしました。仕事で使う道具は普段からきちんとメンテナンスをしておかないといざというとき大変な目に遭うのですね、反省。

 

鍵屋の仕事は知恵比べの連続

目の前に立ちはだかる新築住宅。玄関のカギを持ち忘れたままゴミ出ししている間にオートロックがかかってしまって入れない!との連絡を受け米原市の住宅へ。出入り口のカギというカギはすべて最新型の高防犯タイプ。出入り口から開けてくれという限定条件になると、もう方法は壊すしかない、ところですが、とにかくおうちには入れればいいのでどこから開けていただいても結構というお客様のご意向があり出入り口以外から開ける方法を考えました。1階の窓はすべてシャッターが閉まっています。シャッターは内側からレバーを上げることでしか開くことはできない仕組みになっています。幸い2階のベランダが駐車場の屋根のすぐ近くにあったので柱をよじ登りべランダに上がりました。大きな窓はカギがかけられています。窓からの解錠はよくやります、そしてその成功率は約9割。今回もと挑んだのですが。。。無理と判断し地上に降りました。玄関わきの小窓(人が入れる大きさではないです)が少し開いていたのでそこから開けられるか、無い知恵を絞りだしました(笑)オートロックの開錠は中からであればボタンを押せば開くことをお客様から教えていただき、ならば!と車の積んでいた針金を使って小窓から差し込みボタンを押してやろう!と意気込んで試しましたが届かず断念。でもここからしか方法はないと判断したので窓からボタンの距離、角度を目測で測りお客様が持っておられるモップの柄の先に針金を巻き付け、両面テープを張り付け挑みました。もちろん窓からボタンまでは目ではみえません。カンに頼るしかない状況でしたが見事にボタンに命中したようでロック解除できました!両面テープの粘着が効いてくれたようでした。とても原始的な方法ですが成功してよかったです。鍵屋さんの仕事ではちょっとした知恵の活用が生きてくる場面が非常に多いです。まさしく知恵比べ。

 

勘弁してほしい

オリジナルな技術を経験で得た職人気質な業者さんが多い中で交流もほとんど持たない閉鎖的な世界が鍵の職人業界です。培った技術を見られるのも、また他の職人さんの技術を見るのもプライドが許しません。なのに現場で鉢合わせ、なんてことがよくあるのです。鍵のトラブルが発生して慌てたお客様があちこちの業者さんに依頼されることが原因です。これは明らかにお客様側のマナー違反です。依頼されたそれぞれの業者さんが何も知らずに現場に向かい、早く到着した業者さんが勝ちということになります。遅れてしまった業者さんはこの時点で”用無し”となってしまいます。当然この場合はキャンセル料が発生します。当店でも時々こういう依頼でキャンセル料だけ頂いて現場を後にし、待っていただいている次のお客様のところへ向かうことがあります。中にはここに来るために断ったことさえあるのです。他のお客様に多大な迷惑をかけることになるため、同時依頼は勘弁してほしいのです。

 

商売道具が...

滋賀県中を鍵の緊急作業で走り回るこの仕事で欠かせない商売道具は何て言ったって営業車でしょう。これがなければこの商売は成り立たなくなります。4年ほど前に米原市で住宅の鍵交換を終えて帰る途中にいきなりアクセルペダルの抵抗がなくなりました。スカスカで踏みごたえがほとんどゼロ。慌てて他の交通に支障がきたさないように惰性で路肩まで走り停車。運転席の下に潜り込んでみたらアクセルワイヤーとペダルの連結部の樹脂が折損しワイヤーがペダルから完全に外れている状態でした。次のお客様もお待ちになられていたのでかなり焦りました。とにかく応急処置でもなんでもいいから車を走らせるようにしないと。。。車内に積んでいる”使えるもの”を探しまくりました。ちょうど細いワイヤー線とアルミの中空の棒があったのでペダルから外れたアクセルワイヤーとアクセルペダルの連結部にワイヤー線を括り付け、3センチくらいに切った中空のアルミ棒を圧着して接合しました。かなりしっかりとついてくれていてその後の仕事にも支障なかったです。落ち着いたら本格的に修理に出そうと思っていますが今もそのままにしています(笑)

 

安否確認は...いまだに苦手。

ご家族や友人、知人などと連絡がつかなくなった時に安否確認といってその方の安否を確認するための住宅開錠作業の依頼が入ります。前もって警察官や病気をお持ちの方のおうちを開ける際には救急車の手配をお客様側で済ませて頂くのですが、何度この仕事をしても気持ち的に前向きになれないのです。開けて元気であればそれでよかった!で終わるのですが何かあった場合は...これまでの経験では最悪のケースも何度かあります。そんな時は開錠作業後に涙が出てくることも。悲しい現場は目にしたくないものです。

 

曇るし、蒸れるし。

新型コロナウィルスの出現前にはなかった苦労。2020年の緊急事態宣言前後から絶えすマスクをしながら仕事をしています。キーを作成するときや、ドアに錠前を取付けの際にキーマシンや電動工具から機関銃のように飛んでくる切り粉から目を保護するために眼鏡を付けて作業するわけですが、冬場になると鼻の隙間から出る吐息の蒸気で曇って何も見えなくなります。そのたびにマスクを外すことは絶対にできないため手を止め、眼鏡をふきふきしています。車の窓ガラスに使う曇り止めも試しましたが効果は長続きしません。業を煮やして眼鏡を外して作業をすればこの時を狙ったかのように切り粉の餌食に。何度かそれで目に切り粉が刺さり眼科医にお世話になりました。夏場は夏場で切実な問題が。とにかく蒸れる!真夏日のマスクって今まで経験がないので昨年の夏は往生しました。熱中症を促進しているみたいで...今年の夏はどうしようかな対策練らねば!とにかくマスクは集中力を削いでしまうんです...

 

 

まだまだあります、追記にしばらくお時間をいただいております。

 

 

 

電話 0120-690-727